新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
春風が心地よく吹き抜け、桜が咲き誇る今日の佳き日に、皆さんを日本大学通信教育部にお迎えできることを、教職員一同、心より嬉しく思っております。新たな学びの第一歩をここから踏み出される皆さんに、あらためて歓迎の意を表します。
本学・日本大学は、1889年に創立された日本法律学校を前身とし、「自主創造」を教育理念として歩んでまいりました。明治という激動の時代、欧米の法制度を無批判に受け入れる風潮の中で、学祖・山田顕義は、日本固有の風土と文化に即した法の必要性を痛感し、それを教授する教育機関として日本法律学校を設立しました。以来、本学はその精神を受け継ぎ、前例にとらわれることなく、新たな領域に果敢に挑戦する「自主創造」の理念を柱として教育・研究に取り組んでいます。
「自ら学ぶ」「自ら考える」「自ら道をひらく」。この三本の柱は、まさに本学通信教育部で学ぶ皆さんにとって、学びの羅針盤となることでしょう。年齢や立場、生活環境を問わず、それぞれの人生のステージにおいて学ぶことを選ばれた皆さんが、この理念を日々の学修の中で体現されることを、心から期待しています。
さて、日本大学通信教育部は、昭和23年、我が国で最も早く通信制大学として設置認可を受け、以来77年の歴史を重ねてまいりました。現在は、法学部、文理学部、経済学部、商学部の4学部8学科(法律学科、政治経済学科、国文学・英文学専攻、哲学専攻、史学専攻、経済学科、商業学科)を擁し、全国各地、そして海外からも、職業・年齢・居住地を問わず多様な学生が学んでいます。
これまでに約38,000名の卒業生を送り出し、現在は正科生・科目履修生を合わせて約7,300名が在籍しています。本学通信教育部は、単に学士の学位を取得することにとどまらず、生涯にわたって学ぶ「リカレント教育」の場としても広く開かれており、キャリアアップや自己実現、新たな知的探究を求める方々の学びの拠点となっています。
通信制大学の大きな意義は、時間や場所にとらわれず、誰もが自らのペースで学ぶことができる点にあります。働きながら、育児や介護と両立しながら、あるいは退職後にあらためて学び直す場として、通信制教育は現代社会の多様なライフスタイルに適合した新しい学びのかたちを提供しています。こうした柔軟性と包摂性こそが、通信教育の持つ大きな力であり、大学教育の未来を切り拓く可能性でもあります。
本学通信教育部では、こうした教育の特性を最大限に活かすため、さまざまな支援体制を整えています。多様な目的に応じたカリキュラム設計に加え、教職・学芸員・司書教諭などの資格取得を可能とする講義、そして実践的な教養を深める多彩な科目が開講されています。スクーリングは対面・オンラインの双方で行われ、インターネットを活用した柔軟な学修・単位取得方法が導入されており、学生一人ひとりの状況に応じた履修が可能です。
また、日本の通信制大学の中で唯一、本学では独自のキャンパスを東京都・市ヶ谷に有し、そこには自習室や学生ラウンジが整備されており、学びの場としての環境が整っています。さらに、オンラインにも対応した「学生・学修センター」では、履修相談や学修支援を行う体制が常設されており、学生ファーストの視点から学修を全面的に支えています。
これらすべての取り組みは、本学が掲げる「自主創造」、「教育の質保証」そして「学生ファースト」の理念の具現化そのものであり、学生一人ひとりが、自ら考え、自ら学び、社会と未来に貢献する力を育むための後押しとなっています。
21世紀も四半世紀を迎えようとする今、私たちはグローバル化の進展、高度情報化社会の深化、地球規模の気候変動、そしてポスト・パンデミック時代の社会構造の変容といった複雑な課題に直面しています。その中で、他者と協働しながらも、独自の思考で行動する力、自ら課題を発見し、解決へと導く知恵がこれまで以上に求められています。
皆さんが、本学通信教育部での学びを通じて、こうした社会において求められる力—すなわち「豊かな人間力」と「実践知」を身につけ、それぞれの目標を達成されることを心より願っております。学びの道には、時に困難もあるかもしれません。しかし、それを乗り越えるたびに新たな発見と成長が待っているはずです。
本学で多くの友人をつくり、仲間との絆を深めながら、実りある学生生活を送られることを、心から期待しています。
最後に、米国の思想家ラルフ・ワルド・エマーソンの言葉を紹介します。
「すでにある道をたどるのではなく、道のない場所に進み、自ら道を作れ。」
まさにこれは、「自主創造」を体現する皆さんの歩みにふさわしい言葉です。今日この日から始まる皆さん一人ひとりの「新しい道」に、私たち教職員は全力で寄り添い、支援してまいります。
改めて、日大通信へようこそ。
令和7年4月8日
日本大学通信教育部長 陸 亦群






